通訳業案内士試験合格体験記~水谷浩さま~

1.語学上達の近道・獣道

 以前語学仲間と歓談していた折、こんな話を聞いたことがあります。新来の同学が相当低いレベルから凄まじい速度で上達して追いつき、追い越して遥か上のレベルへ消えたという話です。その仲間はかなり学習するタイプだったのですが、それよりも早い速度で抜いて行った同学を羨望の的で見ると共に、遙か上のレベルへの近道(語学の獣道)があることが解りました。

 今回通訳業案内士試験(中国語)に無事合格して合格記を頼まれて、数日後の朝にふと昔聞いたその話を思い出したのです。2回目の挑戦で奇跡的に突破できた今になって思うことは、どうもその獣道を通ったのではないかということです。その道は見えません、捜してもみつかりません、通っていても気付きません、知らずに歩いているといつのまにか反れています、またガタガタで道なんかではありません。魯迅先生は言いました、道は初めからあったものではない、人が歩いて道になったのだと。

 

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2.外国語学習の長征(ロングマーチ)

 2年の北京留学以後全然中国語を学習しなくなり、15年が経過しました。世紀が変わる頃北京に残っていた友達より「中国都市部のインフラが急速に進み、昔の耐久生活はなくなったよ」と連絡を貰い、北京へ行って目を疑いました。高速道路や洒落たレストランがあちらこちらに出来、飲み屋もゴルフ場もある、駐在しても良いかなあとも思えました。しかしその頃私の中国語能力は、万里の長城遺跡の如くピンインや四声の基礎から崩壊し、恐ろしい状態になっていたのです。中国語が聞いてわからなくなり且つ話せなくなりました。北京土話で話かけられて頭の中が白くなった後に15年前に中国語で苦しんだ記憶が蘇りました。どういうものであったかをお話します。中国語を始めて2年間は、発音が全く身に付かず、同学たちからその方面で遥かに抜かれる、中国人からは「聞いてわからない」と言われ続けました。特に幼少の頃から音楽が苦手で音痴であった私は、カラオケのリズムを取るのが下手で、何度歌い込んでも音程が狂う欠点がありました。音楽に近いといわれるこの言語を選んだ事を後悔してもしょうがありませんが、本当にひどいものでした。言葉を全く理解してもらえないつらさ、例えば北京の胡同で「トイレどこですか(厠所在那里)」と言って通じない「聞いてわからない」と言われ仕方なく人家前で立ちション、怒られ罵られて逃げ惑い近くのホテルに逃げ込もうと別の北京人に「京倫飯店在那里」と聞くが通じない、後で判ったのですがこの発音は難しいです。自信のある人は張音校長にテストしてもらってください。

 でもひとつ判明しました、発音は一定の期間梅酒のように頭で発酵して溶け込まないとできないと言うことを。ということは現在やっていることが身につくのは少なくとも半年先なのです、毎日漬ける努力を積み重ねて初めて半年前の努力が実るのです、やめたら1からやり直しなのです。しかし、この努力を続行すると下手だと言われ続け馬鹿にされてきた私でも、通訳業2次試験(ネイティブとの面接/発音の悪い人を落とす試験)を突破できるのです。

 中国語の実力を再建するために某通訳養成所に通い始め、文字通り一からのやり直しを始めました。中国語へ細切れ時間を注ぎ込み、毎日の学習が3時間を越えることも少なくありませんでした。営業の移動時や出張時に語学カセット・CDを聴く、昼休みにPCゲームの代わりに通訳学校の予習復習宿題をやる、いやになればやめる。昔よく言った夜の街にも行かなくなりました、しかしたまに行くときは、中国パブに行って実力試しをしました、母国語に餓えている小姐はネイティブ速度でしゃべってきます、彼女たちだけの会話にスムーズに入れたのは、最近になってからのことでした。

 通訳学校では試練の日々が続きました。通訳教師から発音の欠陥を毎回の叱責、進級は無く、語法と発音で苦しめられ続けました。家族からはもうやめてほしいとも言われ、会社の仕事は机に山積み、受けた中検・TECC・HSKはことごとく惨敗、敗走ゲリラの戦いを強いられ、仕方なく習いごとに日を減らさざるを得ませんでした。中日言語学院に来たのは、同学達に発音を笑われたのがきっかけでした。ネットで調べ3-4校回った後、張音先生に電話しました。あのきれいな中国語を30分程聞いて(容姿もきれいだけれど)自分の師を決めた訳です。

 

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3.前進・前進・また前進

  中国語を嫌にならない学習方法は、無理はしない、楽しくやる、目標を持ってそれを実現する喜びをかみしめながら次へ進む。具体的には学習内容を幾つかに分けて5分単位でも毎日やることです、そしてそれをダイアリーに記録すること。例えば学習内容をシャドウイング・デクテーション・音読・書き出し(判らない言葉)と暗唱、語法・中文日訳/和文中訳(先生に添削してもらう)・読書(声を出さず量を読む)と細かく分けて5分間手を付ける。すると嫌ににならない、やらなければならない教材が机に山積み状態となる、毎日やっていると気持ちよくなる。それと必ず忘れるので忘れた頃の復習、これがキーポイントです!頭にどのくらい使える言葉が残っているかが勝負です。それでも忘れるけどあきらめたらそこで終わりです、何度も忘れた単語熟語フレーズは完全に覚えられます。そうやって来るとある日、テレビやラジオの中国語がスーと入ってくるからおもしろい。中国語は2005年にそういう感覚が20年振りに蘇りました。そうすると次にもっと細かく文章を分解して、動詞がどれか名詞や副詞・形容詞の使い方によって相手の伝えたい意思が見えかけてくる。これが完璧にできると遂次通訳段階かなあと思えるようになりました。

  もうひとつ。目標の定め方、獣道をいくのだから遠くの高い山を目標としましょう。例えば通訳案内士試験(旧通訳業試験)。遂次通訳レベルと言ってもはっきり見えません、中検2級は低すぎるよ、やるんだったら準1級か1級、HSK8級を中間目標にしたほうがいいと思う。準4級だからまだ早いなんて言っていては駄目です。早い人は足掛け2年で中検2級を取ってきます。さっき書いた学習法の組み合わせを復習主体でやる人は、恐らく獣道を駆け抜けるでしょう。

  今の立場になってわかったこと。通訳業試験を5回6回受験して合格した人と1回2回の人の差は歴然です。基礎の深さが違います。それと学校の語学と実戦の語学は違います。通訳学校や外国語大学では読む・書く・聴く・話すバランスが円に近いか人を優等生とし、星に近い人を劣等生とします。特に通訳学校では小さくても円タイプを好みます、ですのでレベル的に非常に高い人が低いクラスにいることがよくあります。星タイプは基本的に円タイプにするのは難しいのでしょう、実力が付いて穴が埋まるのですが長所は更に進化してしまいます。そういう私も典型的な星タイプです、得意不得意がはっきりしています。

 

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4.やっと掴んだ2勝

  通訳業試験の第1次試験の合格に日は忘れられませんでした。受験した日、書いた答案を見てため息をついて落胆してしましました、中国語も邦文も30分前に試験場を後にしたのです。明日がある来年があると歌って家に帰りました。今年から外国語/合格か不合格 邦文/合格か不合格と出るので邦文くらいは受かっていてくれと葉書をめくったところ「合格」と出ていたのです。信じられませんでした、神風が吹いたと思いました。「おとうちゃんおめでとう」と近寄ってきたわが子を胴上げして喜びが実感できました。ここまできたからには第2次試験もやるぞとファイトが出てきました。

 しかし2次試験は面接、私には発音という問題をまだ完全に解決しておりませんでした。そこで張音校長に特別レッスンを頼みました。2次試験の実地練習です。「どのようにして試験会場へ来たか」とか「何年学習しているか」とか「日本の経済情勢」「クールビズウォームビズ」「日本酒」「お好み焼き」「京都はどこを案内する」などを50-100字でスムーズに言えるよう100題位の例文集を作りました。それを張音校長が口頭と文章添削する方法を取ったのです。某通訳養成所からの無料ネットも役立ちました、前の週に実施された英語の2次試験問題を中訳しても使いました、当日の朝日新聞からも出題されましたよ。2次は7問出題(上記)で全問正答しました、教官も2-3度笑わせ、100点満点中150点の出来であったと思います。



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5.マルチリンガル頂点への挑戦

ここ1ヶ月かつての通訳学校の同学に言われることは、「すでにプロテストに受かったのだから、やることないわね」と。でもそれは違います。ゴルフのプロテストに受かってツアーを戦おうとする人にそんなこと言ったらどやされます。今度のライバルは同じプロなのです、プロとプロに戦いを勝ち抜くには、更に険しい獣道を再び進まなければなりません。目指すは同時通訳レベルの能力が目標となります。

  今、考えていることがもうひとつあります、それはマルチリンガルへの道です。英語もかなり苦闘した歴史があり、次の目標として通訳案内士試験(英語)の突破を目指しています。

  TOIEC900点が先か、英検1級が先か、通訳案内士が先に受かるか、これからの挑戦次第です。マルチリンガルの獣道は更につらい、しかし上級のマルチリンガーは国際社会に通用する数少ない人間なのです。厄年を越えてから再学習を開始し、中間点に達した今、生涯学習とは何か、心の中から湧き出す熱意の中で人生の天命を知る50歳までにこの目標は成し遂げたいと思うようになりました。この道を行く人はほとんどいません、挑戦しようと思う人も少ないです。しかし、私は敢えてやろうとする人を熱烈に歓迎し、可能な限りアドバイスしたいと思います。

 

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6.邦文試験突破の秘術

 邦文試験(日本地理・日本歴史・一般常識)はどのように勉強したのですかとよく聞かれます。人生の半生を出張人生に費やし、日経朝日を読み、時々歴史小説を読んでいました、高校までは社会が得意でしたので全然準備らしい準備はやってなく受験しましたなんて言ったら、多くの人から反感を買うでしょう。では、市中に売っている教材を1日10分でもやっておりました、それと新聞はすみずみまで毎日熟読しましたと言えば、大体の人は納得してくれるでしょう。この両者とも正解なのです。前者は私の方法、後者は1年前に合格した同学の方法です。過去問題をやった結果、これはいけると思いあまり力をいれておりませんでした。

  しかし、今後は違います。地理では東経北緯と各都道府県県庁所在地の関係をはっきり覚える。さて松江と静岡はどちらが北でしょう?地図を良く見て答えましょう。歴史では美術史が最近のトレンドです、狩野派の絵画の名前、岡倉天心の作品名、時代と画家と作品名を覚えましょう。一般常識では、例えば小泉政権の方針、靖国参拝と郵政民営化だけではないよ、ビジットジャパンキャンペーンについてどれだけ知っていますか?通訳案内士の試験なのだからこれはイの一番に学習しましょう。ともかく単純な記憶テストというより、複合問題が主体になります。普段からの学習が基本になります。でも邦文は半分が合格点、外国語のように偏差値60は要りません。ではみなさまの精進と語学等の上達、そして通訳案内士試験の突破をお祈り申し上げます。

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