西辻健一郎さんは2004年8月~2005年8月まで留学準備として当校で北京語を勉強されておりました。 |
「7月7日は何の日でしょう」そう聞かれてあなたはどう答えますか?普通なら「七夕」と答えるでしょう。それも答えです。しかし、中国に興味がある人、とりわけ北京へ旅行、留学でやってくる人はぜひ、もうひとつの答えを知っておく必要があります。 もうひとつの答え、それは「盧溝橋事件が起こった日」です。 この事件についての詳細は、ここでは書きません。大事なことは、盧溝橋あるいは7月7日のことについて中国人に聞かれて「何も答えられない」、「ピンと来ない」日本人に対して、中国人は大変残念がり、ある人はその人を軽蔑し、悪くなれば怒りを覚えるのだということです。これは逆に言うと、歴史に対して少しでも知識があると、極端に言えば「7月7日=盧溝橋」という事だけの知識だけでもあると、中国人はその日本人に敬意を、少なくとも確実に親しみを感じるということです。 よく言われることですが、日本において過去は「水に流す」ものとされます。他方中国では「未来を写す鑑」とされます(以史为鉴,面向未来)。この違いの、どちらが正か非かと糾す前に、ここに違いあることをしっかりと認め、まずなにより相手の考えを尊重することが必要でしょう。 また、「いじめっ子はいじめたことをよく忘れるが、いじめられっ子はいじめられたことをよく覚えている」とされています。立場が違うと、同じ出来事でも受けるイメージの内容、強さ、鮮明さ、そして意味合いが変わります。加えてこうした違いが生まれることに対する認識も、いじめっ子はより鈍感で、いじめられっ子はより敏感になりがちです。こうした心理的温度差が、認知という人間の心理作用に存在することを、やはり日本人は知るべきでしょう。 まして、中国語を勉強する日本人、中国に関心を持つ日本人ならば、このような立場に立ち、「7月7日=盧溝橋」というようなわずかな取っ掛かりでもよいので、「歴史を知る」という試みに立ち向かい、またその努力を続けるべきでしょう。中国の地で、楽しいはずのコミュニケーションの現場で気まずい思いをすることを望む人は、どこにもいないはずです。 |
写真18-1 宛平城 |
写真18-2 宛平城遠景・盧溝橋
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写真18-3 盧溝橋 |
写真18-4 中国人民抗日戦争記念館 宛平城の中にある記念館。7月7日、8月15日といった日中戦争に関係の深い日には入場料が無料になる。中に何があるかは・・・皆さんの目で確認してください。 |
留学当時、北京はどこもかしこも工事、建設ラッシュで、いつもどこかで新しい建物が建ち、他方どこかから古い建物が消えてゆきました。今回はその中から「中关村」「前门-大栅栏」の2箇所を取り上げます。 |
写真19-1 中国海淀图书城
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写真19-2 中国海淀图书城 内部
かつてはテナントが密集し、繁栄していたと思われます。留学当時は半数ほどのテナントは撤退し、残ったお店も大学の授業の参考書・アニメ・ゲーム・音楽CD・DVD(ほとんどはコピー製品)を販売し何とか商売をしているようですが、衰退の事実はありありと伝わっていました。 |
写真19-3 中关村图书大厦① |
今昔②:前门-大栅栏 前门、大栅栏はそれぞれ地名で、有名な天安門広場の南側にあります。この一帯は清朝末期から、広大な商業・娯楽・ホテル街として名をはせていました。この場所の活気は、一種の「うさんくささ」「大人の歓楽街という性格」に裏付けされたもので、近代中国社会の表と裏を残した場所とされてきました。しかし2008年の五輪を控えた再開発事業は遂にこの地帯にも及び、古き良き(悪しき?)時代の面影が、留学当時急速に失われてゆきました。開発計画では、昔の遺産を残しつつ、「文明都市」にふさわしい北京の町並みを造るということなのですが、今後どうなるか、非常に気になる所です。 |
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